この記事では、中国における「現地採用」と呼ばれる働き方について、私が考えるメリットとデメリットを書きたいと思います。
現地採用とは、中国国内にある日系企業の支社・支店にて採用され、働く形態です。
現地採用のメリットは、大好きな中国で働けること!これに尽きます!
中国に留学している日本人のなかには、語学留学を終えた後、現地採用にて働く人が多くいました。
その動機は、中国での生活が楽しく、まだ日本に戻りたくないというものがほとんどです。
その気持ちは、私もよく分かります!
当然ながら、日本人の賃金は、現地で中国人を雇うよりも遥かに高くなります。
そのため、日本人を雇うことに利点がある職種に限って、雇用されることになります。
私の周囲では、シティホテル、不動産会社、工場に採用されていました。
シティホテルに採用された人は、フロント係に配属されていました。
日系のホテルであり、宿泊客の大半は日本人であるため、日本人を採用する利点が大きかったようです。
不動産会社に採用された人は、日本人の顧客担当となりました。
日本人が現地でアパートなどの不動産を賃貸する際、「担当者が日本人だと安心できる」というのが採用の理由らしいです。
工場に努めた人は、管理部門に配属され、日本本社の窓口業務を担うことになりました。
日本から技術者や営業担当者が頻繁に訪れるらしく、その人たちの中国滞在期間中の生活全般について担当していました。
冒頭で述べた通り、現地採用で働く日本人の多くは、中国が好きで、留学後も日本に帰らずにいる人たちです。
従って、日常会話には全く不自由しないレベルの中国語力をもっていました。
皆、中国に残れることに喜びを感じ、活き活きと働いていました。
自分が望む場所で暮らし続けられること!これこそが現地採用の最大のメリットであると言えるでしょう。
【写真3.3】壮大で美しい中国の橋梁。建築技術の高さがうかがえる(出典:写真ac)。
次に、現地採用で働くことのデメリットです。
私が考える最大のデメリットは、「日本の社会保険制度の恩恵を受けられない恐れが高いこと」です。
ここで、社会保険とは、厚生年金保険、健康保険、雇用保険、労働保険の4つについて述べています。
日本における社会保険制度は、大変充実しています。
厚生年金は、定年後の生活のために欠かせないものであり、健康保険は、病気や怪我による経済的負担を軽減してくれます。
もちろん、厚生年金保険料並びに健康保険料の掛け金はそのぶん高額です。
しかし、被雇用者として働けば、掛け金の50%を会社側が負担してくれます。
また、同じく雇用保険料は労使双方で負担しますが、失業時に生活を維持するために大変重要なものです。
労災保険料は、全額会社負担で、業務中や通勤退勤時に災害に遭ったとき、金銭的負担から我々を守ってくれます。
この大切な社会保険!現地採用では会社側が一切負担しないという例がありました。
私は専門家ではないので、それが適法なのか否かは分かりません。
ただ、仮に適法であったとしても、日本の社会保険制度の恩恵を受けられないことには変わりありません。
労働災害保険に未加入で、勤務中の怪我の治療費が全額自己負担となっては、目も当てられません。
また、厚生年金保険に勤め先で加入できないときは、国民年金保険に自分で加入することになります。
その場合、毎月の16,540円の保険料は、全額自己負担となります。
また、将来受け取れる老齢年金も、厚生年金よりもずっと少なくなります。
もちろん、日本国籍から離脱し、中国国籍を取得するほどの覚悟があるなら話は別です。
しかし、いずれ日本に戻るつもりならば、日本の社会保険制度のシステムから外れないことは、非常に重要となります。
もちろん、現地採用でも、社会保険を完備している企業も多いでしょう。
ただ、お上(日本政府)の目が届かないので、不安はつきまとうと思います。
以上、現地採用で働くことを考えている方の参考になれば幸いです。