この語学試験のカテゴリーでは、今後数回に渡って「全国通訳案内士二次試験を受験した感想」を書いていきます。
全国通訳案内士試験は、我が国では唯一の外国語に関する国家試験です。
観光庁が主催する試験で、外国語力をメインに、日本の地理や歴史に関する知識が問われます。
合格者は、外国人観光客に付き添い「通訳ガイド」としての業務に従事します。
インバウンド事業(訪日外国人観光関連事業)は、2020年の新型コロナウイルス感染拡大以降、下火になっています。
しかし、それまでは東京オリンピックの開催が間近に迫っていたこともあり、大変注目を集めていた資格が、全国通訳案内士です。
新型コロナウイルスの終息後、インバウンドが再燃する可能性は十分に考えられますので、興味のある方は今のうちから勉強を始めておくことをおススメします。
さて、私はこれまで全国通訳案内士試験の二次試験(最終試験)を、2018年から2020年まで、合計3回受験しました。
まだ合格することは出来ていませんが、3回の受験を通じて得られた情報は、これから受験を考えている方にとって、役に立つことがあるかもしれません。
そう考え、今回受験記を記事にすることにしました。
二次試験の受験記を書くにあたって、最初に試験の概要を説明します。
二次試験は、下記の3つの試験で構成されています。
①プレゼンテーション
②外国語訳
③実務質疑
試験のガイドラインに基づき、順に説明します。
まず、①のプレゼンテーションは、下記のように説明されています。
提示される3つのテーマから受験者が1つを選び、外国語で説明を行い、そのテーマについて試験委員と外国語で質疑応答を行う「プレゼンテーション問題」
私が受験したときは、次のような流れで行われました。
(1)試験官から、3枚のカードを渡される。
(2)カードには、それぞれ異なるテーマが書かれている
私の場合、テーマは「琵琶湖」、「スタジオジブリ」、「鹿威し」 とそれぞれ書かれていました
(3)カードに書かれた3つのテーマのなかから1つを選び、受験外国語(中国語)で、プレゼンテーションを行うように、試験官から指示を受ける。
(4)プレゼンのための準備時間は30秒、実際にプレゼンをする時間は、2分間との指示を受ける。
(5)準備時間の30秒を使って、プレゼンの構成を考える。
(6)プレゼンテーションをする。
(7)最後に「谢谢」で締めくくる。
(8)プレゼンをしたテーマに関し、試験官から(受験外国語で)いくつか質問をされるので、それに回答する。
私の場合、「スタジオジブリ」についてプレゼンをしたので、質問された内容は、次のようなものでした。
「ジブリの世界を体験できる場所があるらしいが、それはどこか?」
【写真4.6】夜空にそびえ立つ中国の高層建築物。その輝きは、近未来を想起させる(出典:写真ac)
次に、②の外国語訳並びに③の実務質疑は、次のように説明されています。
試験委員が読み上げる日本語を外国語訳し、その問題文に関連した質疑を行う「通訳案内の現場で必要となる知識等に関する外国語訳及び全国通訳案内士として求められる対応に関する質疑」
私が受験したときは、次のような流れで行われました。
(1)試験官から、これから日本語で文章を読み上げる旨を説明される(ここから(6)までは、②外国語訳の範囲です)。
(2)その日本語を、読み上げが終了したら、受験外国語(中国語)に訳し、話すように指示を受ける。
(3)訳出は、読み上げ終了後直ちに開始し、一分以内に終えるように指示を受ける。
(4)運営側が予め用意した「メモ用紙」と「ペン」を使用し、メモをとっても良い旨を説明される。
(5)日本語による読み上げが開始される。
私の場合、銭湯に関する文章が読まれました。
(6)中国語で訳出する。
(7)訳出完了後、試験官からA4用紙を一枚渡され、書かれていることを読み、対応方法を提案するように指示を受ける(ここからは、③実務質疑の範囲です)。
「私の場合、訪日旅行客のお客様が、身体にタトゥーがあるため、銭湯への入場を断られた。交渉を試みたがダメだった。お客様は銭湯を楽しみにしている。どうすればよいか?」というような内容でした。
(8)対策を提案する。
(9)対策について、いくつか質問を受ける。
以上が試験の概要です。次の記事から、具体的な体験談を書いていきます。