財務捜査官一次試験で出題される問題は、「会計学」について幅広い知識を問うものです!
これまでの記事では、国際捜査官の受験記を6回に渡って記事にしました。
それに続き、今回からは、同じ特別捜査官である「財務捜査官」の受験体験を基に、その実態を明らかにしていきます。
財務捜査官は、経済犯罪を専門に捜査する警察官と位置付けられています。
の仕事内容は、粉飾決算等、財務・会計に関するものがメインであると考えられます。
そのように考える根拠は、「受験資格」と「試験問題」にあります。
まず、受験資格ですが、私が受験した自治体では、下記の通りでした。
①公認会計士又は公認会計士試験に合格した者
②税理士又は税理士となる資格を有する者
③日本商工会議所が主催する簿記検定2級以上に合格した者
④全国経理教育協会が主催する簿記能力検定1級以上に合格した者
これらの資格・検定は、全て会計に関わるものです。
従って、財務捜査官の主な業務は、会計知識を駆使したものだと想定できます。
【写真3.10】中国の繫華街。中国で好まれている黄色と赤色のネオンが煌びやかだ(出典:写真ac)。
さて、気になる試験内容ですが、私が受験した自治体の一次試験では、次の問題で構成されていました。
それは、①簿記(棚卸資産の計算)、②キャッシュフロー計算書、③原価計算、④財務諸表分析、⑤税効果会計の5つで、全て会計に関わる問題です。
対応する検定試験は、下記の通りです。
①棚卸資産の計算:日商簿記2級
②キャッシュフロー計算書:日商簿記1級
③原価計算:日商簿記2級
④財務諸表分析:ビジネス会計検定2級
⑤税効果会計:日商簿記1級
このなかで、私が解答できたのは、①と③だけでした。
①と③は、以前取得した日商簿記2級の知識で解ける問題でした。
結果としては、一次試験を通過することはできませんでした。
ただ、試験範囲は膨大ですが、個々の問題の難易度は、それほど高くないと感じました。
その理由は、電卓が不要だった(持ち込み禁止だった)からです。
出題された数字(金額)は、ほとんどが1~30円くらいでした。
小数点が必要な数字も無く、計算も全て暗算で対応できました。
そのため、ある程度知識がある人ならば、難無く解ける問題だと思います。
以上から分かったことは、財務捜査官採用試験に合格するためには、下記の範囲の勉強が必要だということです。
日商簿記2級の全範囲、日商簿記1級の商簿・会計、ビジネス会計検定2級の全範囲。
尚、今回私が受験した財務捜査官採用試験は、一般の警察官(巡査)採用試験に準ずるものです。
この他に、一部の自治体では、税理士や公認会計士として10年程度の経験を有する者を対象に、試験を実施しています。
この試験に合格すれば、同じ警察官でも、警部補等の役職付きで採用されることになるようです。
次回は、どのような人が採用試験を受験しにきていたのかを書きます。