翻訳者にとって専門分野は必要なのか?ということに関して書きます。

 中国語翻訳者にとって、「翻訳者になるためには専門分野が必要だが、翻訳者として活動するうえでは、そこまで必要ではない」というのが、駆け出しである私の感想です。

 以下、詳しく書いていきます。

 翻訳会社の方から聞いた話ですが、英語翻訳の業界は仕事が潤沢にあるため、自らの専門分野を決めて、その分野の仕事だけをすることが可能とのことです。

 一方、中国語翻訳は、仕事量が英語に比べると圧倒的に少なく、専門を決めてしまうと、できる仕事がほとんど無くなってしまうそうです。

 そのため、専門分野はあるに越したことはないが、それよりも、どのような分野にも対応できる能力が必要だということです。

 実際、クラウド翻訳で募集されている案件をみると、件数がそこまで多くないうえに、ゲームやアニメのようなサブカルチャーから、工業技術や法務・知財まで、幅広い分野に分かれています。

 もし、自分の専門はこれだけだと決めてしまったら、応募できる案件は極めて少なくなってしまうでしょう。

 ちなみに、中国語は英語に次いで翻訳需要のある言語であるため、選ばなければ仕事がある分、まだ良い方です。

 フランス語やスペイン語、韓国語は、中国語に比べると仕事量は更に少ないようです。

【写真1.17】中国の田園風景。長閑な景観に癒される(出典:写真ac)。

 さて、実際の翻訳業務では、専門分野よりも、幅広い業務に対処できる力の方が重要だと書きました。

 しかし、翻訳者になるためのトライアルとなれば、話はまた変わってきます。

 トライアルとは、各翻訳会社が独自で課す翻訳試験で、応募者の翻訳の力量を測るためのものです。

 このトライアル、クラウド翻訳会社以外では、全て専門性が必要な内容でした。

 工業、IT、特許、金融等の各分野から、自分が得意なものを選び、翻訳する形式です。

 「得意な分野を選んで翻訳会社に連絡すると、その分野のトライアルが送られてくるパターン」、そして「全ての分野のトライアルが送られてきて、そのなかから好きなものを選んで解凍するパターン」が多いです。

 全ての分野のトライアルが送られてくるパターンでは、各分野の原文に目を通し、最も高品質の訳文を作成できそうなものを選ぶことができます。

 解答するにあたっては、こちらのパターンがやや有利だと思われます。

 ただし、有利なのは他の応募者も同じです。

 従って、評価方法が絶対評価であれば有利に働くでしょうが、相対評価であればあまり有利とはならないでしょう。

 尚、評価方法は翻訳会社が独自に決めており、応募者が知るすべはありません。


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