宮廷料理とは、中国の歴代王朝において代々食されてきた料理です。
時の権力者が中国全土から名のある料理人、定評のある食材を集め、完成させました。
各地で最高レベルの料理人と食材を集めたことから、味・香りはもちろん、見た目が極めて美しいことも特徴です!
更に、使用される食材には、滅多に手に入らない希少な食材が数多く使用されています。
まさに贅沢の限りを尽くした料理と言えるでしょう。
なかでも、ツバメの巣で作るスープは絶品です!
中国宮廷料理におけるツバメの巣と言えば、アワビやフカヒレと並ぶ高級食材として大変有名です。
アナツバメ(金丝燕)とよばれる黒い羽毛のツバメの唾液で作られた巣を原材料としています。
アナツバメは、海岸沿いの断崖絶壁や洞窟等に巣を作る習性があり、それを採取して、スープ等の料理を作ります。
アナツバメの主な生息地は、インドネシアやマレーシアを中心とした東南アジアで、これらの地域がツバメの巣の産地となっています。
ツバメの巣のスープの作り方は、まず採取(購入)した巣を水に浸けて、羽毛等の不純物を取り除き、数十時間ねかせます。
それから、調味料や他の具材を入れ、煮込んで出来上がりです。
調理前の巣は純白ですが、調理後は透き通った透明な色に変わります。
春雨のような糸状で、柔らかく且つほのかな甘みがあり、宮廷料理に相応しい美味しさです。
スープだけではなく、デザートとしても人気です。
値段はそれなりにしますが、日本でもAmazonや楽天等の通販サイトで購入できます。
また、東京等の大都市の中華料理店でも食べることができます。
ツバメの巣には大きく分けて、白燕(白色)、黄燕(黄色)、红燕(赤色)の3種類があり、赤色の红燕が最も高級だと言われています。
【写真2.12】高級感が漂うツバメの巣のスープ。とろけるような甘さが特徴的である(出典:写真ac)。
ちなみに、日本のツバメは、巣を作る際に泥や木の枝等を使用するため、スープの原材料にはならないそうです。
近年は、環境保護の観点から、高層ビル等の人工物に巣を作らせ、それを採取することが多くなってきています。
アナツバメが生息する、洞窟や断崖絶壁に人類が立ち入り、そこの生態環境に影響を与えることを防止するためとのことです。
もちろん、採取にあたっては、ヒナが巣立ち、使われなくなった巣だけを選んで採取しているとのことです。
また、ツバメの巣(アナツバメの唾液)は、美容効果もあると言われています。
そのため、中国はもちろん、日本でも、サプリメント等の健康・美容食品として広く愛用されています。
それだけでなく、ツバメの巣は、シャンプー・トリートメントから、ローション、フェイスマスク、リップクリーム等の化粧品にも利用されています。