中国における彩礼とは、結婚の際に男性側から女性側へ贈るお金のことで、日本における持参金、結納金等に相当します。

 近年、この彩礼の金額の高さが、結婚適齢期の男性とその両親を大いに悩ませています。

 なぜなら、その金額が天井知らずで、60万元、88万元、100万元など、あまりに高騰しすぎているからです。

 1元≒18円として計算すると、日本円で下記の金額になります。

  60万元≒1,080万円

  88万元≒1,584万円

 100万元≒1,800万円

 見ての通り、相当な金額に達します。

 これに止まらず、中国では、男性側が住まい、自家用車、挙式費用を負担する場合が多いです。

 住まいと自家用車はローンだとしても、彩礼と挙式費用を合計して、一体いくらになるのでしょうか。

 男性側の金銭的負担は計り知れないものとなることが想像できます。

 尚、彩礼は女性自身が受け取ることもあれば、女性側の両親が受け取ることもあります。

 場合によっては、結納返しのように戻ってくるときもありますが、そうでないことも多いです。

 流石に、上述した金額は極端に高額な例ですが、その半分程度(日本円で500万円前後)だとしても、かなりの額だと言えるでしょう。

 そのため、親戚一同・友人知人からお金を借りて支払う例もみられています。

 同時に、彩礼を用意することができず、婚約を破棄する(される)例も非常に多いらしく、問題視されているようです。

 【写真2.13】彩礼。地域によって差はあるが、大きな負担であることに変わりはない(出典:写真ac)。

 このような過酷な現状を反映してか、YouTube上には、彩礼を風刺した動画が驚くほど多くアップロードされています(中国語音声)。

 ドラマ仕立てのものが多いですが、そのほとんどが、高額の彩礼を要求する女性(ないし女性の家族)が、男性側から婚約を破棄されるというストーリーです(笑)。

 役者が違うだけで、だいたいの動画は次のパターンで構成されています。

 ①結婚を前に、女性やその両親が男性に高額の彩礼を要求する

 ②男性が要求を呑むふりをする又は考えておくと言ってその場を後にする

 ③男性からの連絡が来なくなる

 ④女性が連絡すると、男性は既に別の相手と結婚している

 ※男性が結婚した相手は、大概が資産家のお嬢様ないし彩礼を一切不要と言ってくれる女性。

 こうした動画が大量生産されることからも、男性側の苦悩と彩礼の問題の深刻さとがみてとれます。


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